今、スナップばかり撮っている。
思い返せばちゃんとカメラを使ったのは大学時代だ。元々映画ばかり見ていたので、映像の勉強がしたいと思い、大学はデザイン学部という特殊な学部に入ったのだが、そこで写真を学ぶ授業があったのだ。授業では、たしかニコンFM2を使い、モノクロフィルムで撮影、暗室でのフィルム現像からプリントまで一通り経験をした。酢酸の匂いを嗅ぐと、今でも大学の寒い暗室を思い出す。
撮影を終えたフィルムを、セーフライトもない完全暗黒でリールに巻き込み、35mm1本文が入る丸いスチールの現像タンクに入れて蓋をするまで行う。言葉通り手探りでの作業となる。この巻き込みに失敗すると、現像液や定着液がフィルム全体に行き渡らずに、綺麗に現像されないフィルムが出来上がる。フィルムはだいたい24枚か36枚の撮影が可能だが、そのうち3分の1が死んでいてげんなりする、なんてこともあった。今でもILFORDの印画紙の箱に当時プリントした写真達は保管されている。

大学卒業後、WEBデザイナーとして社会人になってからはカメラとは距離が離れた。自分のカメラとして初めて買ったのは、CANONのIXY DIGITAL Lのシルキーブロンズだった。主にスナップ用に購入したのだが、めんどくさがりな性格が故、ほぼプリントもせずに、データも今は消失している。
フィルム時代は、現像からプリントまでがワンセットだったので、必ずモノとしての写真が手元に残ったものだが、今は違う。ふとアルバムを見返してその時代に思いを馳せる、という経験はほぼ無くなってしまった。
その代わりに今はブログとして残したり、SNSで発信するのが代わりとなるのだろう。ああ、そうか、だからこのブログを作ろうとしたのだ。アルバムの代わりとなるのは、どうもSNSではない気がしていた。SNSはいわばフロー、アルバムの代わりとなるのはやはりストックでなければいけない。まあ、両方やるんだけど。
IXYの次は時間が経ち、子供が産まれたのを機に一眼レフに手を出す。子供の写真を高画質で残したい、というあるあるの流れで買ったのが、Nikon D5100 ダブルズームキットだ。ヨドバシカメラで、当時のCANONの入門機と触り比べまくって、最終的にシャッターの音だけで決めた。バリアングルモニタなので子供の運動会を撮るにはもってこい。しかし徐々にこのカメラを手に取る機会も減っていく。iPhoneのカメラ性能がぐんぐん上がっていったのだ。スマホでよくね?というのも世の中の流れだ。当たり前だが、スマホに比べるとD5100は重くてデカかった。単焦点レンズ等も追加購入していなかったため、ズームレンズ込みだとかなり重たかった。
時は流れて10年、仕事ではデザイナーとしてのキャリアから少しズレて、デザイン、ブランディングを管掌する役員となり、クリエイティブに対してチェック、口は出すが、手は動かさないようになっていた。そんな時ふと思った。
動画作りたい。
写真じゃないんかーい、というツッコミが聞こえてきそうだが、そう、動画だ。元々映像の勉強がしたくて大学に行ったのだが、そちらの道には行かなかったことが、やはり心の奥底でひっかかっていた。D5100でがんばってかっこいい動画を撮ろうとしたこともあったが、当時の一眼レフはやはり写真を撮るものだった。しかし今は違う。一眼カメラの動画撮影の機能はぐんぐん伸びて、CMや映画もミラーレス一眼レフで撮れる時代。Youtubeにはシネマトグラファーと称する動画系Youtuberもどんどん増えた。
趣味で動画撮ったろ。そう決めてからまずは機材選びである。仕事でお付き合いのある監督などから様々な情報を集めると、今、動画を個人で撮るならSONYのFX3、という結論に行き着いた。しかし調べれば調べるほど、完全にオーバースペックである。仕事で使うわけではないのだ。ボディだけで50万は高い。そして機材が重たいと、また持たなくなるかもしれない。D5100と同じ轍は踏まない。
そして調べるうちにミラーレス一眼で動画機としてLUMIXのGH5が名を馳せていたことを知った。過去形なのは、もうGH6が発売されており、GH5は既に型落ち、もうすぐGH7も発売される、というタイミングだったのだ。そしてセンサーサイズはマイクロフォーサーズ。フルサイズに比べてシステム全体が小さくなるので、レンズも入れた重量が軽くできる。軽いは正義。同じ轍は踏まない。あと、マイクロフォーサーズという言葉の響きがかっこいい。

最終的にGH5M2の中古を購入。同時に、レンズは以下を購入した。
- LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S. H-ES1206
- LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH. H-X025
GH5でもなく、GH6でもなく、GH5M2だ。GH5M2はGH6の直前に発売されている。
- GH5M2:2021年6月25日発売
- GH6:2022年3月25日発売
1年たっていない。ミラーレス一眼カメラは、同一シリーズの場合、新機種はだいたい数年あけてから発売されることが多い中、GH5M2を発売してから1年以内に最新機種が出ている。なんかこう、GH5M2が「え、なんで発売したの?」という時代の狭間に産み落とされた機種に見えたのだ。だがそれがいい。V-Logで動画撮影し、DaVinci Resolveでカラーグレーディングをして遊んでいる。
約10年振りの一眼カメラ、楽しい。どうせならスチールも楽しもうと、スナップを撮りに街に出る。するとどうだ。写真ってこんなに楽しかったっけ?そして冒頭に戻る。写真ばっかり撮っている。動画機としてGH5M2を買って、写真ばっかり撮ってる。そういうこともある。ピッチャーとして入団して、バッティングで成果出す、的な。知らんけど。


今は写真が楽しくて、持ち出す重さも感じない。さすがマイクロフォーサーズ、コンパクトだ。GHシリーズはマイクロフォーサーズの中で大きい方だが、レンズがコンパクトなのが効いてるのだろう。フルサイズだとありえない小さいサイズで、特に望遠レンズは本当にコンパクトだ。10年前、重たいからと持ち出さなくなったD5100からどれだけ軽くなったのだろうか。
- D5100 ボディ560g+キットズームレンズ265g=825g
- GH5M2 ボディ647g+単焦点レンズ200g=847g
重なっとるがな。


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